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次世代リーダーインタビュー(第9回・中編) 「プレゼンの真髄とは? ~スライド3枚で感動を呼び起こすイタリア人教授~」(揚岩康太さん)

次世代リーダーインタビュー(第9回・中編)

「プレゼンの真髄とは?

~スライド3枚で感動を呼び起こすイタリア人教授~」

 

次世代リーダーのインタビュー、前回に引き続き総合商社からフランスのビジネススクールINSEADに留学されている揚岩康太さん(29才)に、海外における日本人の発信力やプレゼンについてお話を伺いました。

 

九門)海外では日本人が何を考えているか理解されにくい部分がありますが、それについてはどうするのがいいと思いますか?

 

揚岩)明確なポジションをとるということだと思います。よく日本人は意見を言わないから理解してもらえないといわれますが、それは副次的なものだと思います。ビジネススクールのクラスでも一つの授業中に何回も発言する生徒はいますが、内容がなければそれほどみんなの印象には残りません。一方で、私は毎回のクラスで1回くらいしか発言しないことが多いですが、クラスメートから「コータの発言は印象に残る。もっと話したい」といわれたことがあります。

 

思いついたことをただ数多くいうのではなく、問いに対してどういうポジションをとるかを明確にし、その上で論理的な説明をするということが大事だと思います。多くの日本人は最初の段階で周りの意見などの空気を読みすぎて「どの意見も正しいと思うが」「正解は無いが」などバランスをとる発言をしがちがちで、「絶対にAだと思う」と言うことは少ないと思います。然し、最初からバランスを考慮した発言をしても、誰も耳を傾けてくれません。

 

九門)確かにそういうケースは日本でよく見られます。そうすると、自分の軸をぶらさない方がいいということなのでしょうか?

 

揚岩)というよりは、全然違うバックグラウンドを持つ人たちが話し合うときに、スターティングポイントをはっきりさせるというテクニックだと思っています。そうしないと対話が始まらないからです。

 

九門)確かに対話することは大事です。実際、議論していった結果、AでもBでもないCという結論に達してもいい訳ですね。

議論の過程では自分の意見に固執しないということも大事ですが、固執してしまう人もいます。その際、私の経験だと日本でよく行われるような場を収めるコーディネーション能力が生きると思いますがいかがでしょうか?

 

揚岩)その通りです。グループワークですから、最終的には議論の流れを見てグループとして1つの結論を出す方向にもっていく必要があります。INSEADでは、完璧ではなくても答えを出すことが大事という発想がありますが、各自が自分の立場に固執しすぎてなかなかグループとしての結論が出せない、ということが起こります。そういう場面ではコーディネーション能力が重要です。この点、グループメンバーからのフィードバックで、コータは1人1人の発言を聞いて全体を俯瞰して調整する能力に長けていると言われたことがありますが、自分ではそんなに特別なことをしているつもりはなく、日本人としては極普通の技術だと思っています。

 

九門)少しまとめると、自分のポジションを明確にしたうえで更に全体のバランスをとることができれば日本人としての資質をグローバルな場でも十分活かせるということですね。私がお会いした海外で活躍される日本人の方でも、そういう能力が大事といわれている方は多いです。調整能力でいえば、いい意味で玉虫色に決着できる能力というか。

 

弊社でも6月からKAICというグローバルキャリアを考える上でのプレゼンセミナーを開講するのですが、プレゼンという視点で大事なことがあれば教えてください。

 

揚岩)INSEADでもプレゼンテーションのクラスがありましたが、結論からいうとスピーカーが自然体かつ本音で話すのが、最も聴衆の心に響くよいプレゼンということでした。また、プレゼンではありませんが、とても印象に残っている授業があります。

 

ビジネス倫理の授業なのですが、3時間の授業でパワーポイントスライドは3枚だけしか使われませんでした。それも文章ではなく、写真やイメージのみです。それ以外はインタアクティブな対話形式で、教授が疑問を投げかけながら議論が進んでいくという形式で、自然にみんなが発言して自由に議論していると思っていたら、いつの間にか教授が用意したスライドと議論の方向がぴったり合ってくるという感じで感動的でした。

 

九門)最近欧米ではパワーポイントを使わないプレゼンの方が好まれているという話を聞いたことがありますが、まさにそれを実践されている形ですね。

 

ビジネススクールに通っている学生に社会貢献の意識が高い人が多いといわれていましたが、最近はビジネスを学ぶ方々にもそういう傾向があるのでしょうか?

 

揚岩)そうですね。そもそも、社会貢献するのに必ずしも非営利である必要はないと思います。例えば世界には様々な国際機関や非営利組織がありますが、その資金は民間企業や個人の寄付で賄われている部分が少なくありません。それを考えると、非営利組織の方が社会に貢献していると断言することは出来ないと思います。そもそも、社会に正当な付加価値を付け、それに対して正当な対価即ち利潤を得ることは、それ自体立派な社会貢献だと思います。INSEADでも、学生の多くは、ビジネスを通して社会に付加価値を生むことで対価を得る、という考え方を持っていると思います。

 

九門)INSEADで学んでいる学生の動機は必ずしも金銭的なものと結びついているわけではないということですか?

 

揚岩)そうです。既にある程度特定の分野でキャリアを作った人達が、人生における次のチャレンジをしにきていると思います。金銭的なものによって直接人生が豊かになると考えている人は少なく、自分の限界を試したい、チャレンジしたい、世の中を良くしたいといった精神的なインセンティブの方が強いのではないでしょうか。社会起業を経験してきた人や政治家になりたい人も少なからずいますし、ビジネスの仕組みを用いて社会を変えるという意欲を持つ人も多い印象を受けます。

 

九門)なるほど。時代の流れとしても、社会貢献とビジネスがよりつながっていく時代の流れにあるのかも知れませんね。

‐後編 http://www.kumontakashi.com/?p=1076 に続く‐

 

プロフィール

1985年、北海道生まれ。

2010年に東京外国語大学を卒業後、総合商社に入社。

鉄鋼製品の海外営業担当として欧州、アジア、北米、アフリカ、中東地域でのビジネスに携わる。

2015年1月にINSEADに入学、同12月に卒業見込み。

Category: 社長コラム

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