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次世代リーダーインタビュー(第10回・後編) 「意味がないことに挑戦するためにチェコに高校留学」(揚岩康太さん)

次世代リーダーインタビュー(第10回・後編)

「意味がないことに挑戦するためにチェコに高校留学」

 
次世代リーダーのインタビュー、前回に引き続き総合商社からフランスのビジネススクールINSEADに留学されている揚岩康太さん(29才)に、ご自身の転機であったチェコへの留学などについてお話を伺いました。

 

九門)揚岩さんの転機はいつだったか教えてもらえますか?

 

揚岩)高校3年生の時にAFSという団体を通じてチェコに1年留学したことです。チェコで一番優秀な高校に行くことになったのですが、私が初めての留学生でした。周りには当然日本人は1人もいなかったので、チェコ語を勉強するしかありませんでした。そこで自分を外の視点から見ることができ、ヨーロッパ的な考えと日本人的な考えを相対化してみることができたと思います。

 

九門)どうしてチェコに留学しようと思ったのですか?

 

揚岩)少しその時の状況を説明すると、留学するまでは通っていた高校で成績が最下位に近い状態でした。高校の先生から、もっと勉強に励むよう注意を受けていたのですが、なぜ大学にいかなければいけないのか、受験勉強に何の意味があるのかよくわからなかったのです。それを大人に聞いても、いい大学に行けばいい仕事につけて、いい人生が待っているというようなふわっとした話だけで、だれも本質的な答えは持っていなかったのです。

 

それで相変わらず勉強に対する意欲が湧かなかったので、このまま過ごしていてもにっちもさっちもいかないと思って留学しようと決めました。なぜチェコなのかというと、それは「高三のタイミングで留学に行くなんて無駄だ、もし行くとしても受験に有利になる英語圏に行くべきだ」と周囲の人に言われたからです。チェコ語は日本人にとっては世界で最も難しい部類の言語で、しかもチェコでしか話されていないという特殊言語です。

 

九門)ということは、それを身につけたとしても実用性がない。ますます「なんでチェコなの?」となるわけですね。

 

揚岩)そうです。だからこそ、チェコに行こうと思いました。人が「意味が無い」と言うことを思い切りやってみた場合に何が起こるか見てみたかった、というのが理由です。大学や受験勉強に「意味がある」という話と一緒で、本当にそうなのか自分自身で確かめてみたい、と思ったのです。そして実際に留学した結果、人が意味が無いと思うことでも、実際には十分意味を見いだせることがわかりました。

 

九門)とてもユニークな視点ですね。チェコ留学時代はどういう生活だったのですか?

 

揚岩)チェコ語を死ぬほど勉強して、最終的にチェコのテレビ局の番組にチェコ語が話せる日本人ということで生出演させてもらったりしました。今の妻もその時出会ったチェコ人の女性なので、私にとっては得るものはとても大きかったです(笑)

帰国後はチェコ語を勉強したおかげで、英語も伸びて学年トップになりました。また、チェコ語学科に入るという目標が定まったおかげで受験勉強に意味が見いだせるようになり、無事成績も上がって東京外国語大学のチェコ語学科に入学できました。高校時代のチェコ留学は私にとって大きな成功体験につながったのです。その後も、就職活動や会社生活等色々な場面でチェコ留学の経験がユニークだと評価されましたし、国際性豊かなINSEADに於いてですら、チェコ語を話せる日本人というとみんな覚えてくれます。

 

九門)チェコ留学がまさに人生の転機になったという訳ですね。何を言われても、人と違うことをやりきってみるということは大きな自信につながると思いますし、結果人との差別化につながります。私も90年代半ばにアメリカに留学中、中国に関心が出ました。しかし、当時はまだそれほど経済発展しておらず共産主義一辺倒のイメージが強かったため、相談する人ごとに「なんで中国に行くのか?やめた方がいい」と言われ続けました。でも、私も人がやっていないことをやりたいという思いがあって、迷わず中国に行ってみようと決めました。

 

最後に、INSEADには色々なバックグラウンドの方がいらっしゃるとのことですが、その人たちの価値観で魅力的だな、日本人と少し違うなと思われたことはありますか?

 

揚岩)総じて、好奇心旺盛で人生を楽しもうと思っている人が多いです。自分の可能性を信じていて、自分で自分を高めよう、自分の人生は自分で切り拓こうという姿勢が魅力的です。日本ではあまりそういう感覚で生きている人に出会わなかった感じがします。

 

九門)私も海外で色々な国の人と会いますが、「楽しむ」という姿勢はもっと日本人がもってもいいものだと常々感じます。たとえば、最近テレビでスペインの名テニスコーチが日本に来て小学生を教える番組を見たのですが、将来プロになりたいと思っている子供たちに対しても「楽しんで練習することが大事」と言っていたのがとても印象的でした。

これは決して「楽をする」ということではないのです。つらい練習でも、「楽しくする工夫をする」ことで楽しめるということなのです。日本では、スポーツでも仕事でも楽しんではいけないという空気があります。人生においてもおそらくそうでしょう。でも、自分の人生を楽しむために工夫をすることはこれからとても大切なことです。

揚岩さんも残り半年の留学生活において、いい意味で楽しんで色々なことを吸収していってください。どうもありがとうございました。

 

プロフィール


I1985年、北海道生まれ。

2010年に東京外国語大学を卒業後、総合商社に入社。

鉄鋼製品の海外営業担当として欧州、アジア、北米、アフリカ、中東地域でのビジネスに携わる。

2015年1月にINSEADに入学、同12月に卒業見込み。

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Category: 社長コラム

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